ヨラテンゴ@渋谷O-EAST

極めて純度の高い。そう。そんな感想を持った。


今日はヨラテンゴのライブ@渋谷O-EAST。昔見たライブは素晴らしかった記憶が残っているし、彼らの紡ぎだす音楽の大ファンである僕だけど、今回はぎりぎりまでチケットが余っていたり、なにやらモヤモヤとした気持ちを引きずりつつ会場へ。


だけどね。そうじゃなかった。


序盤は比較的ゆったりと始まる。アイラは最初の4曲、ギターを持たず鍵盤に向かう。素敵な歌。キレイでかわいい。でも、まだまだ音はキテいない。スピーカーの音は抑えられているような気がしたし、ヨラのメンバーのテンションも、会場のお客のテンションもやや低め。いや、低いというよりもこれから、という感じ。


ところが、突然の転調。まさに、いきなりの攻勢。


新作「I Am Not Afraid Of You And I Will Beat Your Ass」から、1曲目「Pass The Hatchet, I Think I'm Goodkind」、10分を超える長尺曲がほわっとした会場の空気を切り裂く。一瞬にしてアイラのディストーションギターがキリキリと、ジェイムスのベースは力強さを100倍増しに、ジョージアのドラムにキレが見える。


そこからは、完全にヨラ劇場。歌心に酔いしれ、さもなくばノイズの波にもまれる。久しぶりに、本当に久しぶりにという気がする。極めて純度の高いフィードバックノイズに身を任せた。レコードの音源を聴く限りでは絶対に分からない、彼らの本質がそこにある。ジェイムスとジョージアのリズム隊が、きめ細やかにアイラの弾き狂うギターを支える。どんなにイッテしまったノイズをかき鳴らそうとも、それは全くとして独りよがりでなく、まるでポップなものとして聴こえさせてしまうのは、それが彼らの共同作業であり、お互いを良く知っているからなのだと思う。


そう、アイラとジョージアはとても素敵な夫婦に見えるし、ジェイムスのキャラクターは青春映画の模範的な脇役のようだ。決して邪魔はしない。そして、たまに前に出る時はしっかりと決める。しかし、あのコンビネーションはどういうことなのか。皆歌い、ギター、ベース、鍵盤を弾き、ドラムを叩く。それでも慌しくなく、ゆったりとマイペースに、そして見る者を徐々に飲み込んでゆく。あー、なんと温かい。そう彼らの根底に垣間見える優しさ。今日はその全てを堪能し、2時間半に及ぶライブを締めくくった。そう、今日の殊勲賞がもうひとつ。とてもライティングが素敵だったこと。派手に照らすだけでなく、まるで海の底にたたずむかのごとく。極めつけは「Blue Line Swinger」。凄い!あーそうだ、でも「Autumn Sweater」聴きたかったな。久しぶりに全てにおいて満足を得たライブ。ありがとう。本当に素晴らしかった。


次もまた行きます。



今日の一曲:ヨラテンゴの全て